外反母趾の改善・予防と靴(静的バランス)とインソール(動的バランス)の関係

外反母趾は親指が人差し指方向にくの字に曲がってしまった趾の変形です。

原因は開帳足や偏平足などと言われていますが、それらはすでに足が変形してしまった結果で原因ではありません。本当の原因は静的、動的の両バランスの乱れです。

静的バランスとは足と靴の関係で足と靴のフィッティングの事です。フィッティングは足のサイズを知る事で外反母趾の方に限った事ではありませんが、自分の足サイズを知っていられる方は少なく、適切な靴を履いている方は少ないです。まして外反母趾の方は変形した趾が靴に当たるという事で、変形が強くなるにつれ大きな靴サイズに変えていく人が多いようで、大きい靴を履く事で足が靴の中で動き、足で一番大事な踵が安定せず歩行の際に、足の機能が発揮されず結果として、趾に力が入らず地面に押し付けられ、捻じれ曲り外反母趾の変形が生じます。

動的バランスとは歩行バランスの事で、これを整えるのが動的インソールです。

これは靴のフィッティングを行い歩行した際の踵の安定性、左右の足への体重移動の様子、体の上下移動の状態、歩行は趾で蹴って進んで行きますので、趾がしっかり使えているかなどを確認し、靴の中敷きに基本となる特殊なパッドを貼り付け、細かいバランスを整える為に微調整パッドを付加し、それをグラインダーで削り厚さを調整し歩行バランスを整えます。

これにより足の機能が発揮され、趾に力が伝わりただ地面に押し付けられていた親趾に力が入り、趾で蹴って歩行が出来るようになり、結果外反母趾の症状を改善予防が出来ます。

歩行は誰一人と同じ人はいません、同じ外反母趾の方でも歩き方はそれぞれ違いますので、インソールの形も違います。

よって動的インソールはその人の歩行に合わせて作製した、その人専用のインソールで全て同じ形をした既製品とは違います。
足に何かしらの異常がある方には、個人の歩行に合わせた動的インソールが必要ではと考えます。

『NHKのあさイチ』などテレビで足の特集が放送された時に、紹介されたインソールとはこの動的インソールのことを指し、既製品のインソールの事ではありません。

このように外反母趾の改善と予防には、静的バランスの靴フィッティングと動的バランスの動的インソールがペアになって初めて効果を発揮します。

外反母趾でオーダーインソールを作製した例

外反母趾A様

片山外反母趾非荷重(立位)
片山外反母趾非荷重(座位)
浮き趾オーダーインソール

ウォーキングを始めて2週間頃から親指や足の裏に痛みやだるさを感じ来院された。
親指は外反母趾、足裏は足底腱膜炎の症状でした。
足の計測とフットプリントを取り、靴の適合性と立位での足裏荷重状態を確認しました。
足サイズ足長23㎝足囲B、普段の靴は24㎝足囲3E,で大きめの靴を履き、フットプリントでは内側アーチは正常、外側、横アーチに低下が見られ、荷重は踵にかかり趾が浮いている状態です。
そして左横アーチ3・4・5趾下方と右横アーチ5趾下方にタコが見られました。これは趾が着けないのでタコの部分を着いて、立ったり、歩いたりしているためで浮き趾の方にみられます。

オーダーインソールを作製

最初に靴のフィッティングを行い足囲23㎝、足囲Bの靴を選び、歩行は右方向に偏って進む歩行、この原因は右足の外側への荷重と足の蹴る力の弱さで、作製するインソールの右足は外側アーチ支持、横アーチ特に母趾、小趾の動きを良くする処方を行います。
左足は軽度の内側への動きが見られた為、内側アーチ支持と趾の働きを良くする為に横アーチ支持の処方を行い、これで初回の作製は完了し、痛み自体は消失しました。
その後は定期的に靴の状態やインソールの調整を行い経過を観察して行きます。

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外反母趾B様

片山外反母趾非荷重(立位)
片山外反母趾非荷重(座位)

この方は医療機関で加療中ですが、右膝の痛みで歩きにくい為に来院されました。
足も拝見させて頂いたところ外反母趾も伴っていられました。
当院では膝の痛みで来られた方は膝だけを見るのではなく、必ず足と靴そして歩行を拝見し関連を考えます。
その結果靴は足に対して3サイズ大きく、歩行は右足外側荷重で膝はO脚で内側を潰しその為に疼痛が出現し,左足は内側アーチを潰し、歩行全体は『ふらふら歩き』で速度が遅く、趾を使って歩いていませんでした。

オーダーインソールを作製

インソール作製前に靴を合わせますが、この方は足長に合った靴を所持していましたので、足囲は加工をしてその靴を使用しました。
歩行の特徴は真直ぐに歩けず右方向へ向かってしまう歩行が見られ、インソールはそれを防ぐ為に右足の外側を強く支持し、趾を使い前進しやすくし、左足は内側アーチを支持し、3.4.5趾を使いやすくしました。
結果、歩くスピードは速くなり歩きやすくなりましたが、膝の痛みは軽減しましたが残存していますが、初回作製はこれで終了します。
その理由はインソールを使用する事で、今まで使っていなかった筋肉をいきなり使う事になり、今まで使わずに弱っている筋肉を使いだすことによる筋肉痛が出てしまう事がありますので、それを防ぐ為に数回の調整を繰り返し完成します。
この方のように医療機関に通院し、通院治療で考えられる膝の治療を全て行っても、痛みのとれない方は可なり居られると思います。
そういう方は諦めずにぜひインソールを作製し楽になっていただきたいと思います。
必ず効果があります。

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外反母趾C様

片山外反母趾非荷重(立位)
片山外反母趾非荷重(座位)

この方は女子で中学入学時に靴を購入する際、お母さんが親指の曲りに気が付き、整形外科を受診し外反母趾の診断でしたが、痛みなどの症状は全く無かったようです。治療は経過観察という事でその間に何か改善する方法はないか相談に来られました。
最初に話を聞きましたら、お母さんはこの子の歩き方が以前より『ふらふら歩き』で、速く歩けない事に気づいていたようでした。そこで足のサイズ計測、靴サイズの確認、歩行観察、を行いました。
この方のように外反母趾でありながら、痛みなどの症状が全くない方がたまに見られます、症状が無いからと放って置くと他の部位に負担が掛かり、必ず体のどこかに症状が出てきますその多くが膝に出ます。
外反母趾は症状が無くても曲がりなど変形が見られたら注意が必要です。

オーダーインソールを作製

靴サイズは22.5㎝が適正サイズですが3サイズ大きな、24㎝の靴を履いていましたので適正サイズに変えました。
歩行は右足内側アーチを潰し5本の指がうまく使えず、特に親指は力が入らずに足を着く度に、靴に押し付けられて外反母趾となり、趾で蹴って歩く事が出来ません。
左足は右足の影響で外側荷重となり、親指に力がうまく伝わらず蹴る力が弱く、左に片寄った歩き方になっていました。
インソールは右足を内側アーチの潰れと親指が使えるように内側部を強く支持し、趾を使えるように横アーチを支えました。左足は外側への不安定性が見られるために外側部を支持し、親指とその他の指を使えるように横アーチを支持しました。
結果として『ふらふら歩行』は改善されましたが、外反母趾の趾の曲りは時間をかけての改善となります。

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